ソリブジン薬害事件

1993年10月にソリブジン薬害事件の最初の症例が報告されました。
ウィルス感染症の治療薬であるソリブジンは、単純ヘルペスウィルス、水痘、帯状疱疹ウィルス、EBウィルスなどの有効とされています。
1979年にヤマサ醤油によって新規合成され、1993年9月3日に日本商事(現・アルフレッサ)より商品名がソリブジンではなくユースビル錠として発売されました。

新規合成当時、ヤマサ醤油はヘルペスウィルスの中野HSV-1とVZVに対する選択性が高く強い抗ウィルス作用を確認し、日本商事とは1985年に経口帯状疱疹薬として共同開発を進めていきました。

経緯と発端

巷でいわれている、ソリブジン事件というのは端的にいうと、抗ウィルス薬であるソリブジンと抗がん剤の5-FUを併用服用した患者が抗がん剤の副作用で相次いで死亡した事件です。
これだけを見ると5-FU事件としたほうがいいようにも思うのですが、ソリブジンを併用することで5-FUの代謝が阻害され5-FUの血中濃度が上昇したことが当時は重視されました。

また、ソリブジンには臨床試験段階から問題があり、それが本事件発覚後にわかったのも物議を醸し出したのです。
それは臨床試験中にソリブジンとフルオロウラシルの併用によって、患者3人が死亡しているという事実です。
そして、直接的に薬害事件とは関係がないのですが、死亡例の報告から事実が公表されるまでにソリブジンを販売していた当時の日本商事とエーザイの社員が同社株を売却したことでインサイダー取引が疑われました。

これは、事件が発覚すると当然のことながら日本商事株の株価暴落は必至ですから、発覚前に株価下落の損失を回避したことが証券取引法の中のインサイダー取引禁止に問われたのです。
結果として当時の日本商事社長が辞任する形となりました。

併用の問題

ソリブジンはその開発段階から画期的な新薬として業界からは大変注目されていました。
その期待があまりにも大きいために発売された当初は、どのような副作用があるか、あるいは相互作用があるかはそれほど重視されず、またわかっていなかったのです。

それは臨床試験中に死亡が確認された症例についてもそれほどの検証が当時において行なわれなかったことがあげられます。

薬物同士の相互作用をするということは臨床現場でよく見られることです。
抗がん剤は諸刃の刃で通常的に使用しても高い副作用がありますが、それでも高い効果を期待して副作用覚悟で服用することが現実なのです。

真の問題点

この薬害事件での企業の対応は比較的速く、事態は早めに収束していきました。
併用問題はそれからの教訓として生きています。

その中で大きな問題として、薬害以上に問題となっているのがインサイダー取引です。
死亡者が出ている中で、さらに違法なインサイダー取引に手を出して自分の利益を優先した行為がモラルに欠ける行為として、薬害以上に当時はクローズアップされたのです。